ten-iya

天国もいつか嫌になる

要件定義イヤー

この記事はWebディレクション Advent Calendar 2015 - Adventarの10日目の記事です。

あらかじめ投稿を宣言していた日から実際の投稿まで、日がかけ離れてすみませんでした。

要件定義について語った2015年

雑誌で

今年2月に『Web Designing』の編集さんから、FacebookのMessage経由でオファーをいただきました。

ロゴ、表紙、コンセプトが大幅リニューアルした今思えば、その前段階だったのだと思えるのですが、当時グラフィックや実装に重きを置いた『Web Designing』さんが要件定義という、ゴリゴリで絵も華もないトピックを扱うことに驚きました。企画が通る前か後に、色々調べていく中で私の本と私を知ったそうです。

編集さんとの打ち合わせは最初と、原稿が出揃った時点とで2回行って、ちょっとした個人レクチャーの面もあり話していて大変楽しかったです。

初めての雑誌執筆、短い期間に濃密な作業を行い、執筆のみならず構成から図版まで提案をしたりされたりとクリエイティブな時間でした。

私の担当は「特集1:後でモメない要件定義」の「どうしてモメた? 要件定義「失敗あるある」」と「要件定義は「なぜ」必要なのか」でした。

他の執筆者さん、インタビュイーさんも豪華で誌上共演できたこと光栄に思います。

book.mynavi.jp

ワークショップで

年上の友人のプログラマーさんが、いろんな人を繋げたい、濃くて深く学べる場をつくりたいと、私に講師のオファーをくださりました。

その友人と私の友人を対象に、セミクローズドな約4時間の要件定義の講義&ワークショップをやりました。講義は雑誌の記事を噛み砕いて、執筆後に仕入れた知識も加味しました。ワークショプはA3の台紙と付箋紙を使います。それだけで普段と脳の使う場所が異なり刺激になります。

話している途中での質問、対話OK。美味しいコーヒーとお菓子も用意して、ストレスのかからない手作りの会でした。

また機会があればやってみたいです。

インタビュー記事で

レバテッククリエイターさんとご縁があり、Web制作におけるコミュニケーションについてインタビューを受けました(こちらこちら)。これをきっかけにWebディレクションのノウハウを伝えようという流れになったらしく、その第一弾のテーマに「じゃあ要件定義についてやりませんか」と提案したのでした。

creator.levtech.jp

少人数のワークショップとはまた異なるチャネルで、『Web Designing』で執筆した内容を話したいなと思いました。

レバテッククリエイターさんでのインタビューは、媒体の担当さんから構成案をいただき、それを叩いた上でライターさんのインタビューを受ける形です。これもちょっとした講座のようだったり、座談会のようだったりと 楽しく話すことができました。原稿は私もチェックして、みんなで伝えたい事が伝わるように丁寧に取り組みました。

雑誌、ワークショップ、Web媒体での記事。同じテーマを、場を変えて3回も。誰もそう指摘してなかったのですが、今年は要件定義イヤーだったなぁと思います。

一つの場面、一つの文書作成にとどまらない問い

レバテッククリエイターさんでの記事公開後、何人かから要件定義を疎かにした(やらなかったことも含め)ために、のちのち泣いた、という話を聞きました。それを裏返せば要件定義とは己の身を守るものという側面もあると思います。

ただ私としては要件定義というWeb制作の一工程もしくは要件定義書という一文書のみならず、物事の存在意義から使命、さしあたっての与件、要件に至るまで要件の連なりを、いつも意識することが重要だと思います。(詳しくはインタビュー記事の楕円形の図版まわりをご参照ください)

平たく言えば「なぜやるのか」「やってどうなるのか」という問いを深く強く行い実行することです。これによって芯が通り、仕事の質、成果物の質が高まります。要件を丁寧に(しかし、悠長でもなく)定義したプロジェクトは強度を増します。

一通のメール、Slackでの連絡であれ、意識と行動の積み重ねが自分自身、自社の存在価値を磨く素になるのだと信じて仕事しています。

要件定義のアウトプットとしては、要件定義書がなくても、記事で述べたようなトピックが決められて関係者間に共有されることが大事だと思います。ある制作者にとってはクライアントとの対話の結果を文書化したものがそれに該当するでしょう。

形とか、正しさへの追求よりも、行えていることが大事なのだと思います。でも、何だっていい、いい加減でもそれらしければいいというわけではないです。人は簡単に、このような乱暴なすり替えを行うものです。これからはこのあたりのニュアンスを、もっとうまく伝えられるようになりたいです。

 

上記のインタビュー記事は、これまでブログを持たなかった(ページビューやシェア数を意識していなかった)自分にとって、驚くほどのシェア数でした。今年はいろいろ大変だった上に、ちょっと病気をした矢先だったもので、大変嬉しかったです。

ちなみに次回の記事の取材も受けていまして、来年1月にも公開される予定です。こちらもどうぞよろしくお願いします。